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卒業

先日、実家の父が現役生活から引退しました。
娘としては、「勇退」と言ってあげたいと思います。

父の職業人生を振り返ると、決して順風満帆と言えるものではありませんでした。
時流や会社の方針に左右され、山あり谷ありであったと思います。
サラリーマンの宿命ですよね。

でも、父が仕事の愚痴を言うのを、私は聞いたことがありません。
母に言っているのも、私は耳にしたことがありません。
むしろ最近では、
「職がなくて困っている人がたくさんいるのに、働けるだけでも有難い」と、
感謝さえしていました。

一度だけ偶然、働く父の姿を見たことがあります。
普段家ではのほほんとしている父が、意外なくらい生き生きとした様子に、
新鮮な驚きを感じたことを覚えています。

これまでそれが特別なことだとは、あまり感じていませんでした。
父親というものは、何があっても黙々と仕事に励むのが、
当たり前のように思っていたのです。

果たして、本当に当たり前と言えることでしょうか?

今回父が引退を迎え、改めてこれまでを思い返したとき、
初めて父の偉大さに気づいたのです。
(偉大さ、と言うと何だか照れますが。)

不平不満も言わず、自分の仕事にベストを尽くし続けることを、
何十年も継続するのは、決して簡単なことではないはずです。
それを父は、飄々とやってみせてくれたように思います。
私も父のように働いていきたい、そう思いました。

リタイア後は、料理教室と園芸学校に通う計画を立てているようです。
料理教室には驚かされましたが、計画倒れにならないよう、
早速エプロンをプレゼントしました。

これからは、父にはゆっくり趣味を楽しんでもらい、
娘の私は、父のような静かな情熱を持って、
仕事に臨んでゆこうと思っています。

『陰翳礼讃』

谷崎潤一郎著『陰翳礼讃』、読んだことのある方が多いかと思います。
谷崎の目線で日本的な美とは何か、ということが書かれていますね。

私は学校の国語の教科書でこの作品を知りました。
子供心に、「羊羹が美しい」だの「中身の見えない吸い物椀が美しい」だの、
妙なことを言うおじいさんだと、強いインパクトを受けました。
以来『陰翳礼讃』と聞くと反射的に、羊羹やお吸い物を連想するようになってしまいました。

最近の新聞のエッセイで、フランスでは今も『陰翳礼讃』が愛読書のトップであるという記事を読み、
懐かしさとともに興味を覚え、文庫本を購入し再読してみました。

まず驚いたのは、案外長い作品だということです。
教科書には抜粋しか載ってなかったということに今更気づきました。
教科書では主に食べ物に関するくだりだけでしたが、全部を読むと、
ちょっと色っぽい部分があったり、とあるホテルを名指しで非難したり、
他にもそのまま今のテレビなんかでは放送できないだろうなあと思えるような部分もあって、
実は刺激的でおもしろいエッセイだと再発見。

フランスでこの本が非常に好まれているというのは今回初めて知ったのですが、
日本人としてはとても誇らしいことですよね。
美についてこだわる国の人々が参考にしているわけですから。
そんな海外にも誇れるすばらしい本が日本にあるにもかかわらず、我々日本人の美意識は、
なぜこんなに鈍ってしまったのか?ということが新聞エッセイで書かれていました。
なぜかという理由については人それぞれの意見があるでしょうが、
現状の日本人の美的センスの低下については認めざるを得ないでしょう。

「和」がブームとなって久しいですが、最近は伝統的な日本のデザインが
見直されてきているように感じます。
新しいものばかりを求めてきたけれど、振り返ってみると古いものの良さにやっと気がついた、
というところでしょうか。

そういう私も、最近は部屋でお香をたくことに凝っています。
今まではアロマキャンドルが好きだったのですが、お香の方が癒されるように思います。

お香の香りでリラックスしながら、『陰翳礼讃』を読んで、美的センスを磨きたいものです。

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